登場人物が増加してくる時期に入ってきておりますが、ちょっと整理しておきましょう。
朝ドラでは登場人物パターンがだいたい決まっています。
ヒロインとその親、兄弟。近所の家族。故郷から本舞台へ移動した先で知り合う家族、彼氏または夫、仕事の同僚など、まあ、基本的には「家族」というのが基本単位になっています。
そしてこれら多種多様な登場人物をまとめる装置として、「クロッシングポイント」があります。
「あまちゃん」でいえば「喫茶リアス」、「ちりとてちん」で言えば「寝床」など、人や情報が行き交う「クロッシングポイント」の存在です。人々がここに集い、うわさ話などをして、ドラマのなかの色々な筋が束ねられていったりするわけです。
ごちそうさんでは、西門さんの幼なじみの亜貴子さん、電停での会話からするとフィアンセかそれに該当するようなお相手がいることが示唆されていました。それがめ以子に伝わらないのは西門さんの「にぶさ」であったり「周りくどい」せいだったりします。
通常こういう重要な情報は、直接伝えられることは少なく、上記の「クロッシングポイント」を経由してジリジリと広まっていき、最終的にはどこかのタイミング、どこかの場所でパーンとつながる、そういう「緊張と緩和」の繰り返しによって進んでいきます。ちなみにこの「緊張と緩和」というのは落語家・桂枝雀の提唱した理論です。
ちなみに寝床によくいる磯七(松尾貴史)は散髪屋ですが、落語の話の中の世界、たとえば「崇徳院」という演目では、床屋が人々が噂をしたり人と出会ったりするクロッシングポイントになっていることがあり、そういうこともあって職業が散髪屋になっている、という落語ちょっとしたネタみたいなのも盛り込まれてますね。
視聴者にとってみれば結果はある程度よめている、だから考えや思いのすれ違いが発生している状態がジリジリしてイライラしてくる、それを程よいタイミングでパーンとできるかどうかが、朝ドラのリズム、テンポの良し悪しにつながってきます。
宮嶋麻衣ちゃんの顔を毎日毎日眺めてジリジリしていけば、ちりとてちんで「伝説の長回し」と言われたエピソードでパーンとなって、惚れてしまうこと請け合いでしょう。