ものごとをストレートに言っていたらドラマにはなりませんので、周りくどいこと言うなあというシーンが出てきたらそれには裏腹な気持ちが隠されています。
頭の固いコンクリート教授も、事実は事実として言葉にするし、論理的なことには耳を貸す、感性として受け止めるところは受け止めている、周りくどい言い方をする人だけれど物語の重要な部分をさらっと語る存在として登場しました。月曜日に登場した新キャラが急に何かを果たして土曜日には退場するというのも朝ドラの様式美なので、この先こういうご都合キャラが出てきても文句を言ってはいけません。しかしコンクリート教授は登場人物一覧に出ているので、続投してくれる可能性は高いですね。なんとなく近代建築や都市計画と、料理の話とをからめてくるんじゃないかという予感を漂わせるエピソードでもありました。
ちりとてちんでは、いろんな人が喜代美の背中を押しています。自分はどうしたらいいのか、そんなとき回りの人は色々な示唆をくれます。め以子のほうは自分には取り立ててやりたいことはないけれど、「やりたいことはない」ということが一つの覚悟となって、徹底的に料理を作ることを発見しました。「やりたいことはない」という事ですら、一つのキッカケでもあるのですね。めんどくさい気づき方ですね。かっこいい仕事現場をみて憧れて「私もこれになる!」というのはストレートですが、それではあまりドラマが盛り上がりませんしね。
人間誰しも「どうしたらいいんだろう」となって、悔やんだりします。喜代美のお父さんも塗り箸修行をやめていた10年間を悔やみますが、おばあちゃんが「それは遠回りではない」と諭します。時に優しさ故にキツイ言い方になることもあるでしょう。「学園祭をやりなおしたい」とめげている喜代美に「無理や」と言い放つ順ちゃん(宮嶋麻衣)は今日一番の周りくどい応援をしていて輝いていて可愛かったですね。