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2010-01-20

アジアとヨーロッパの境のダンジョン

ンジョンは冒険者の行く手をさえぎるもの。
冒険者はダンジョンを突破しようとする。
突破されないダンジョンはない。
枯れない花が咲かないのと同じこと。

イスタンブールはただの一度も突破されてはいない。
古代ローマ時代に作られた「テオドシウスの城壁」があったからだ。
そのときは「ビザンチウム」という名だった街の、最強の防壁だった。
ローマ時代から難攻不落の城塞都市だった。

アジアのほうからやってきたオスマン帝国軍。
彼らは城壁のない海のほうから船で攻め込んだ。
しかしイスタンブールには海にも強力な守りがある。
狭い海峡に鎖を張って、船が湾に入れないようにしていたのだ。

そこでオスマン帝国は船を陸に上げた。
丸太をしきつめて、油をかけ、その上を船を押して転がして進めた。
そして湾の中に船が入り込んだ。
イスタンブールは落ちた。

まるでゲームの中のバグで勝ったようなオスマン軍。
守ったほうも、負けたとは思わなかっただろう。
そんな手があるとは思わなかっただろう。
思ったとしても、まさか本当にそんな所を通るとは。

戦いの舞台となったイスタンブール。
今は静かで優しくてどこか切ない明るさがある。
石畳に路面電車が行き交い活況な市場が立ち並ぶ街。
モスクがそびえ立つ丘が海にむかって突き出している。

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